RubyKaigi 2023に参加しました

5/11〜5/13の間に松本で開催されていたRubyKaigi 2023に行ってきました。RubyKaigiの会場に実際に足を運ぶのは2019年以来だったのですが非常に楽しかったですね。

印象に残っているトーク

Day 1: The future vision of Ruby Parser

今回の実質裏Keynoteと言ってもいいのではないかというトークだったなと思うんですが、parse.yのことを知らなくても楽しめる内容かつ熱量がすごかった。 知らないなりにLRパーサーというものについての理解を深めたくなったのできっとこれは発表者のkaneko.yさんの思惑通りなのでしょう。

Day 1: Power up your REPL life with types

紹介してくれたkatakata_irbは型情報などを使ってメソッドチェーンやunion typeであってもいい感じに補完してくれるREPLとなっていてこれはもう下手なIDEよりも便利なのではという。REPLを少なからず使う人は今すぐgem install katakata_irbして使ってみることをオススメ。

Day 2: Implementing "++" operator, stepping into parse.y

Rubyの構文拡張をして++演算子を追加してみよう!という発表なんですが、これなら自分にもRubyをハックすることが出来そうと思わせるし何より聞いている方が追体験できるような流れが組まれていてとにかく熱量も発表としての完成度もすごかった。

Day 2: The Resurrection of the Fast Parallel Test Runner

Railsの並列テストランナーの実装について細かく解説してくれたんですが、各テストフレームワークの非公開APIにアクセスしてサポートしているしなんならEoLだろうフレームワークも含まれているのでとにかくしんどそうだけれどそんな膨大な課題を続々と倒し続けているというのが、仕事ならともかくOSSのコントリビューターとしてやり切っているというのが流石だなと。

Day 2: Ruby Implementation of QUIC: Progress and Challenges

RubyによるQUICの実装について進めるためにまずはPythonのライブラリを参考にRubyにポーティングするに当たってRubyPythonのそもそもの低レイヤーでの違いを吸収するのに苦労するっていうのが伝わってきた。あとほぼ全編英語で通しててすごいんだけれど合間につぶやかれる日本語がいい感じのアクセントになってたかなw

Day 3: Ruby JIT Hacking Guide

さぁあなたもRubyJITをハックしてみようという感じで色んな事をいつも通り詰め込んで解説してくれたんですがアセンブラがどうとかいう話になると基本着いていけないのに自分自信の技術知識不足を痛感。

Day 3: Parsing RBS

初日のkaneko.yさんの発表に続いてエラートレラントなパーサーって考える事が多くて大変…、と思ったんですがLSP(Language Server Protocol)を介すると入力の差分箇所を見ての補完処理がしやすいみたいな話があってLSPよく出来ているな、ということに感心した。

感想

Kaigi全体としては一部で今回はParser Kaigiと言われるほどにはパーサー絡みの発表が多かったんですが、それもこれもLSPを介する開発者体験の向上という一大テーマに対してゴールは見えていても道のりが決まっていない過渡期ゆえなのかなという印象はあります。そんなパーサーを含めたlow levelなプログラミング知識がやはり自分の中で消化し切れてないというのを痛感したのでもう少し知識として身につけたいなというのは感じています。

今回自分は久しぶりの現地参加(昨年は私事により参加出来ず)だったんですが、ここ数年のTakeout形式だとどうしても合間合間に仕事が挟まったりすることやそもそも参加者・スピーカーとの交流も限定的になってしまうのでなんとなくRubyKaigi感が薄かったのに対して、これこそが待ち望んでいたRubyKaigiだったという印象を強く持ちました。 とはいえなかなか人見知りっぷりを発揮して初めましての人と交流をそこまで持てなかったというのは反省しきり。(最近の自分はRubyを使って何かしているということがあまり多くないので話の取っ掛かりが難しかったのはありますが…。)

また、今まで現地参加したRubyKaigiは既に行ったことのある土地(仙台とか福岡)に対して松本に滞在したのは初だったんですが、松本自体もすごく良い街でしたね。結構コーヒーが好きなので喫茶店が多いというだけで基本ポイントが高いんですがそれ以外にも蕎麦とかも美味しかったですし街自体の雰囲気もすごく良かったです、この点でも現地参加出来て本当に良かったなと。

来年のRubyKaigi 2024はなんと海を飛び越えて沖縄での開催となりますが万難を排して是非現地に行きたいなと思います。